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2018-03-16

つごもり月報 和暦睦月

明日から和暦では如月に。啓蟄を過ぎて春らしい日も増えてきました。うぐいすも最近鳴きはじめ、昨日は今年初めてのツバメを見かけました。今年の冬の寒さはなかなかの厳しさでしたが、春が一気にやってきた感じがします。それでは、今月のいろいろをお伝えしたいと思います(書きやすいのでなんとなくテーマというかコーナーのようなものも設けています)。

【Talk Over Some Tea】
遊びにきてくれたらお茶でも飲みながら話したいよもやま話といった感じのコーナーです。

近所のスーパーでクレソンが見切り品のコーナーに山盛りになっていました。広島から海を渡ってはるばるやって来たようなのですが、あまり馴染みのない野菜のせいか、たくさん余ってしまったようです。

なにかの本で、クレソンは、明治時代にステーキなど欧米の食事が日本に入ってきたときに付け合わせで出されるようになり、レストランで余ったクレソンを河原に捨てていたら、勝手に根が出て野生化したというのを読んだのを思い出し、少し食べて残りは水に挿してみました。翌日には白い根が見えて、本当にその通りだったのかもと思いました。数週間で、新芽も大きくなって何度か再収穫しています。

友人のお祝いの席でいただいた花の飾りに添えられていたつる植物(アイビーかも)も、水に挿して飾っていたら根が伸びてきて、我が家にやってきて半年くらいになりますが、元気に育っています。1月の極寒期には葉と茎が赤みがかってきて少し心配しましたが、最近は温かくなってきたせいか、新芽が次々に伸びてきています。淡いつややかな黄緑色がかわいいです。

【手を動かす】
東京にいたころに出会ったアルパカの原毛色のアンクルウォーマー。柔らかくて肌触りがよく、丈夫で毛玉にもなりにくく、もう何年も使っています。冬になると、裏がシルクで表がオーガニックコットンのレッグウォーマーの上から足首の部分にこのアンクルウォーマーをつけて防寒していましたが、今年は寒かったのに、体が寒さに強くなったのか、レッグウォーマーだけで越せてしまいました。あ、そういえば!と、久々に見てみたら、見事に虫に食べられていて、大きな穴を片方に4つくらい発見。ちくちく、草木染めの刺しゅう糸でダーニングをしたら水玉模様のようになりました。ちなみに、アルパカのアンクルウォーマーは、puenteというところのものです(直接の販売はしていないので、近くのお取り扱い店を探してみてください)。

【しごとのこと】
お手伝いをさせていただいた本『TOEIC® L&Rテスト 本番そのまま プラチナボキャブラリー』が発売になりました。そろそろ店頭にも並んでいるころではないかと思います。ご購入いただいた方のみ、力試し問題もダウンロードできるそうです。スキマ時間にも勉強しやすいサイズになっています。見かけることがありましたら、お手にとってご覧いただければうれしいです。

【最近読んだ本から】
このひと月に読んだ本からおもしろかったものを紹介します。

この国はどこで間違えたのか―沖縄と福島から見えた日本』(徳間書店)
 2011年12月から12年7月まで沖縄タイムスに連載されていた『国策を問う―沖縄と福島の40年―』に加筆・修正をしてまとめたもので、内田樹さんをはじめとする知性あふれる識者へのインタビューをまとめています。新しい気づきも多かったですし、うまく言語化できなかったもやもやが的確に言い表されている部分もあり、たいへん参考になる本でした。
 2011年3月11日の東日本大震災と東電原発事故から7年が経ちました。最近は、まだ解決しない問題を抱えている方がたくさんいるなかで、何もなかったことにしたい人たちの思惑に流されて、風化してしまいそうだという懸念を、心ある人々が発しているのを目にすることが多くなったように思います。
 原発事故で生活が一変してしまった方々から、「忘れられることがつらい」「何もなかったかのように原発が再稼働されるのがつらい。私たちのような人をもうこれ以上出したくない」「地震だけならまだなんとかなるが、放射能は見えないし、ずっと残る。原発さえなければ」という言葉を聞いたことを思い出します。ときどきは別のことで頭がいっぱいでも、3月11日にはせめて、被災された方々、今なお平穏な日々を送れずにいる方々、原発事故の収束のために必死で働いてくださっている方々に思いをはせる日にしたいと思っています。
 そういうこともあって、今月、目に止まったのがこの1冊でした。あの日から、一気に噴出した疑問を解明したくて本などで情報を求め続けるようになりました。どうして、放射能汚染から国民を守るよりも、原発の再稼働が優先されるのか。原発がなくてもエネルギーは足りているのに、どうして原発をやめられないのか。どうして、安全だと言いながら、最もたくさん電気を使う東京ではなく、東北の福島に原発があったのか――原発をめぐる問いを続けていくうちに、戦争や貧困、米軍基地問題、人権意識の遅れ、さまざまな日本の問題に気がつくようになり、「この国はどこで間違えたのか」というタイトルは、まさに疑問に思うようになっていたことをズバリ表していると思い、手に取りました。
 前書きで、インタビュワーの渡辺豪さんが、沖縄と福島を並列に正面から議論することには恐れに似たためらいもあったとしながら、双方に代表される痛みに真剣に向き合う必要があるとの考えからこの本をまとめられたことを書かれていて、情熱を感じました。特に「中央集権的政治システムによって維持される『幻想』(=豊かさ、経済成長[筆者補足])にすがって思考停止してきたのが、今までの日本人ではないか」という言葉がぐさりと刺さりました。今までの日本人がそうなら、これからはどうするのか、日々考えながら、最新の情報をとりに行く努力もなるべくおこたらずに、日々できることはささやかなことでもあるので、地道に意識的な選択をしていきたいと改めて思いました。

【編集後記みたいな】
今月はこんな感じのひと月でした…と締めようかと思ったのですが、昨日こんなことがありました。ちょっと外に出たときに、コガタスズメバチが飛んでいました。ぶーん、ぼちっと音がして、どうやら上着のフードについたような…と思ったものの、ちょっと見ても見当たらなかったので、「気のせいか」と思ってそのまま家に戻りました。しばらくして、何かを踏んだような感じがしたので、足を上げるとさっきのハチ。掛けてあった上着から床にはい出たらしく、軽く踏んでしまったのですが、刺す気配もなく、言われているよりもかなり穏やかな虫だということがわかりました。見た目もスズメバチに似ていて、やっぱりちょっと怖いのですが、外に連れて行くことを教えて、虫取り網(必需品)を差し出すとすんなり乗ってくれて、玄関から外へ逃がすことができました。結構聞き分けも良い虫なのかもしれません。もちろん、個人差(個虫差?)があると思うので、適切な距離を保つのが無難だと思います。それではまた来月◎