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2018-06-14

つごもり月報 和暦卯月

卯月も最終日を過ぎ、皐月に入りました。これまでのひと月の近況報告です。

梅雨入りした地域も多くなってきました。雨があるごとに、ポットに種を蒔いた夏野菜の苗が大きくなり、じょうろでお水をあげてもこれほどまでは大きくならないので、雨には栄養も多く含まれているのだろうなぁ、なんて思ったりしています。昨日、ねむの木の花が咲いて、いそぎんちゃくみたいに揺れるマゼンダピンクのほわほわがとてもかわいいです。それでは、卯月の晦日(つごもり)、今月のいろいろをお伝えします。(書きやすいのでなんとなくお題のようなものを設定しています。つごもり月報を始めた経緯については初回の記事をご覧ください→vol. 1

【Talk Over Some Tea】
遊びにきてくれたらお茶でも飲みながら話したいよもやま話といった感じのコーナーです。
 皮膚によいとされるカレンデュラ。5月ごろから次々と花を咲かせてくれていて、咲いたらすぐに摘んで花びらをもらい、ハーブティー用に乾燥させています。またの名を「ポットマリーゴールド」ともいいます。「ポット」はpot(鍋)のことで、花や若葉は料理にも使われるそうです。私は料理には使ったことはありませんが、検索するとスープやサラダや焼き菓子などのレシピも出てきます。
 精油やハーブティーを販売しているお店に、カレンデュラオイルなるものが売られていて、日焼けや虫刺され、にきび、あせもなど肌の悩み全般によいとのことで、初めてカレンデュラのことを知りました。販売されていたオイルは、乾燥したカレンデュラの花びらを美容用の植物油に浸して有効成分を浸出したものだったので、作れるかも、と思い、おととしの秋にカレンデュラを植えました(種は固定種の種を販売している「たねの森」から送ってもらいました)。去年は種まきをする余裕がなかったのですが、種がこぼれていたらしく、こぼれ種で1株だけ発芽して、その後、とても大きく育ってくれました。たぶん、100本は花を摘ませてもらったと思います。また種を取りたいので、数本は種用に残しています。
 お茶も胃腸の粘膜を修復したり、肝臓を強くしたり、いろいろな効能があるらしいです。他にもセージやタイム、ローズマリーなど、ハーブをたくさん植えたので、庭が薬箱のようになってきました。

【手を動かす】
 今月は結構いろいろ作りました。
・いちじくの葉茶
 庭に植えたいちじくの木がお隣さんの畑にまで枝を伸ばしていたので、ばっさりと剪定。大量に出た葉ばもったいなくて、何かに使えないか調べてみたら、「無花果葉(ムカカヨウ)」という生薬名で高血圧や冷え性の漢方薬に使われているとのことで、干してお茶にしてみることにしました。乾燥すると、甘い匂いがして不思議でした。味は緑茶に似ていて飲みやすかったです。ただ、光に敏感になる成分が含まれているとの情報もあり、念のため、夜に飲むようにしています。

・手紙用の封筒
 おととしのカレンダーは、テクスタイルデザイナーの方がデザインした柄を印刷した和紙のカレンダーでした。もともと、使い終わったら包装紙などとして再利用されるように作られていたカレンダーだったので、保管してありました。家にあった封筒を解体して、型紙を作り、一番紙を有効活用できる型紙に改良。カレンダー1枚あたり2つの封筒が作れました。どれも素敵な柄で、誰に送ろうかなぁとうれしくなります。

・ドクダミの花のチンキ
 ドクダミの花を35度以上の焼酎に漬けておくと、美白など肌にうれしい効果のあるチンキ(ティンクチャー)ができると言われています。うちの庭にはあまりたくさん生えていないのですが、山で相方が発見してドクダミを摘んできてくれたので、花はチンキに、葉はお茶にしました。ホワイトリカーで作る人もいるのですが、醸造アルコールの原料や製造方法は安心できない情報もあり、確実に安全だとわかっているもののほうがよいので、うちでは国産の玄米から作られた玄米焼酎(小正醸造)を使わせてもらっています。焼酎の中でゆらゆら揺れながら色が変わっていく花もきれいです。

【しごとのこと】
訳と解説を一部お手伝いさせていただいた英検準1級の問題集が発売になりました。できあがってみたら予想していたよりも大きな本で、ずっしりと充実の内容でした。本番より少し難しめなので、これで練習を積んでおけば本番が楽に感じられるかもと思います。

【最近読んだ本から】
このひと月に読んだ本からおもしろかったものを紹介します。

『ポートランド―世界で一番住みたい街をつくる』(山崎満広・著/学芸出版社・刊)
 2年くらい前にネットで話題になっていて気にはなっていたものの、なかなか実物を見る機会がなかったのですが、先日、ときどき立ち寄るカフェにこの本が置かれていて、ようやく見ることができました。
 本によると、ポートランドは駅から徒歩20分圏内で、オーガニックな食べ物が手に入るお店も、カフェも、職場も、アートやクリエイティブな空間も、だいたいの必要なものは揃っているらしく、とても暮らしやすい都市なのだそうです。おもしろい起業家も多いし、ジェンダーを含めた多様性に理解がある人が多い先進的なコンパクトシティで、「この10年全米で一番住みたい都市に選ばれ続け、毎週数百人が移住してくる」らしい。そんな街がどうやって培われてきたのかが考察されていました。
 鍵となる1つの要素のNeighborhood Associationという組織が特に興味深かったです。日本の町内会や自治会に近いイメージですが、日本とは違う点がいくつか。日本の町内会の場合、参加は半ば強制的、参加単位は家単位ですが、Neighborhood Associationは完全に自主参加で、参加単位は個人単位です。地域の土地利用計画の策定や市の予算編成への参加も任されていて、市からの予算も当てられていて、どんな街にしたいのか、住民の意見が反映されやすい仕組みになっているそうです。どんなお店に来てほしいか、どんな起業をしてもらいたいか、そういったことを市民が話し合って、誘致したり、起業家に助成金を出してビジネスをスタートしてもらったり、といった仕組みもあるようです。
 今住んでいる県の一番まちなかは、移住当初は、危なそうな酔っぱらいも少なく、荒れていそうな若者の姿もほとんどなくて、夜道も安心して歩ける感じだったのですが、最近はガラの悪い雰囲気になってしまいました。理由はおそらく、人形屋さんや呉服屋さんなど昔からあったお店が閉店して、そこに全国チェーンの居酒屋が増えたこと。ここ2年ほどでかなり増えた感じがします。どういうお店や施設があるかは、まちの雰囲気を大きく左右するものだと思いました。
 間接民主制の会議では、特に投票率が低い場合、市民が本当に望んでいることとはかけはなれたことが行なわれることも多いように思います。市議会の多数派が、お金になるからという理由だけで、ギャンブル施設を作ろうとしたりということもありました。もともといた商店街の人々の多くが反対しているとのことで、市民派の市議会議員さんから反対署名をお願いされて知りました。
 本の中では、和歌山県の有田川町や、千葉県の柏市など、ポートランドの仕組みに学ぼうとしている自治体のおもしろい人たちの話も出てきてワクワクしました。いつかポートランドにも行ってみたいです。

【編集後記のような…】
うっかり忘れていて(汗)、更新が1日遅くなってスミマセン…。葉や草でお茶をつくるのにはまっていて、梅雨の晴れ間にちょこまかと摘んでくる日々です。縁側には洗濯物といっしょに、いろいろな植物がゆらゆら。今は夏の気配もだいぶ濃くなってきました。それでは、また来月。充実した和暦卯月をお過ごしください。