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2018-07-12

つごもり月報 和暦皐月(2018.06.14-07.12)

皐月も今日で終わり、明日から水無月。これまでのひと月の近況報告です。

夏らしい暑さの日も増えてきました。畑ではゴボウの花が咲きました。アザミのような紫色の花です。パクチーと人参は花が終わりかけで種ができはじめています。それでは、皐月の晦日(つごもり)、今月のいろいろをお伝えします。(書きやすいのでなんとなくお題のようなものを設定しています。つごもり月報を始めた経緯については初回の記事をご覧ください→vol. 1

【Talk Over Some Tea】
遊びにきてくれたらお茶でも飲みながら話したいよもやま話といった感じのコーナーです。
梅雨で雨が降り続いたある日、ぽたん、ぽたんとリズミカルに水がはねる音が聞こえてきました。どうも家の中らしい、と思い、音のするほうへ行ってみると、1か所、雨漏りが発見されました。相方がネットで直し方を調べて、ホームセンターに必要な道具を買いに行き、晴れた日に屋根に上って、屋根瓦の補修をしました。割れた瓦を瓦用のしっくいでくっつけて乾かして完了。本当に直ったのか心配でしたが、またすぐに雨の日が来て、雨漏りしなかったので成功だったようです。

【手を動かす】
・梅仕事
今年も梅の季節がやってきました。青梅で梅肉エキスを作ろうと青梅を注文したのですが、届いた梅はもうだいぶ色づいていて「青梅?」という感じでした。実験してみたところ、ちょっとでも熟していると梅肉エキスはうまくいかないみたいです。梅肉エキスは青梅をすりおろしてサラシで絞って濾した果汁を煮詰めて黒いトロっとしたエキスをとりますが、熟した梅だとうまくすりおろせなくて、サラシで絞っても果汁があまりとれず、煮詰めてみても黒くはなりませんでした。梅ジャムのような色の梅肉エキスはその後、真っ白いカビで表面が覆われてしまい、残念でした。青梅で作った黒い梅肉エキスは何年でも常温保存可能です。梅シロップと梅干しも仕込みました。

・ブロックプリントの布で4点
カディ(インドの手紡ぎ手織りの綿布)をネットで探していたら、インドの職人さんがオーガニックコットンに藍染めの木版で型押ししてくれたブロックプリントの布を発見。相方のオーダーでワークパンツとカレンシャツ、自分用にチュニックをつくりました。中途半端に余った布を接ぎ合わせてギャザースカートも今作っています。

【しごとのこと】
今月はわりとゆったりペースで仕事ができたので、合間に相方とワークショップの構想を練ったりしました。ワークショップは相方が実施して、私は企画や事前準備など裏方の手伝いをしています。このひと月の間には和綴じのノート作りのワークショップを1回開催。またいろいろやっていければということで、ほかにどんなワークショップができそうか、アイデアを出して話し合いました。地方へ移住して4年余り。暮らしの手仕事をしているうちに、いろいろできるようになったものだなぁと思いました。

【最近読んだ本から】
このひと月に読んだ本からよかったものを紹介します。
『Black Box』(伊藤詩織・著/文藝春秋・刊)
 この本のことを初めて知ったのは、昨年の秋頃。ASIAN KUNG-FU GENERATION)のGotchさんがツイッターで「伊藤詩織さんの『Black Box』を読み終えた。売名だの自分が悪いだの、セカンドレイプしてた人たちこそ、読むべき本だと思う。そして、俺もこの「男社会」としか言いようのない社会を構成しているひとりの人間として、反省しないといけない。」と投稿されていて知りました。
 すぐに本屋さんで買ってはあったのですが、なかなか開く気になれず、本棚に立てたままになっていました。先日、イギリスのBBCで伊藤詩織さんの事件についてのドキュメンタリーが放送されて反響を呼び、日本でも人権意識の高い人たちの間で話題になり、しっかり向き合おうと思ってようやく本を開くことができました。伊藤さんは最近のインタビューで、この本を書かれたときには、身の危険を感じて遺書を書かれていたと語られていました。
 読んでみて、本当に重要なことを伝えてくれている本だと思いました。なぜここまでの証拠が揃っていても起訴されないのか。なぜ、被害を受けた方が文字通り命がけで告発しなければならないのか。なぜ、日本の社会をよくするために勇気を出して声を上げてくれた人が日本に住むことができなくなってしまうのか。あまりにも理不尽な日本の世の中に、疑問が次々と浮かんできました。
 日本の性犯罪の捜査の在り方にも唖然としました。被害にあった人を救援する体制が全然できていないという事実にも愕然としました。私はたまたま運がよかったから、これまで被害に合わずに来られたけど、まわりでは被害を耳にすることがありました。いつ誰の身に起こってもおかしくないことです。これを機に、司法制度や医療福祉現場での救援体制など、もっと被害にあわれた方が安心してサポートを受けられる世の中にしていけるように、何かできることがないか、アンテナを高くしておきたいと思いました。
 日本のこの現状の根底にあるのはやっぱり、女性をモノ扱いしたり、女性を男性よりも劣った存在と考えていたり、性別役割分業の固定観念だったり、社会に存在している男女差別だと思いました。私は言葉を扱う仕事もしているので、やはり、日本語の男女差別的な表現はとても気になります。言葉にはその人の考え方や無意識に身に着けてきた固定観念が表れるものですし、逆に、言葉が考え方や行動に影響を与えることもあると思います。相手に伝わらない場合もあるので、そうした表現(「奥さん(=家の奥にしまわれている人)」「旦那さん(=patron)」など)を仕方なく使うこともあるのですが、なるべく使わないようにしたいです。

【編集後記のような…】
最近、勉強するべきことがまだまだたくさんあるとふと思うことが増えました。暮らしを心地よく、愉しくする技術もそうですが、社会のことについてもです。まずは自分が満たされていなければ、自分以外の人の幸せを幸せだと感じることもできないのだろうな、とも思う反面、自分だけ愉しくて気持ちよければそれでよい、というのはやっぱり、だめだな、とも思います。暮らしをナチュラルにしていく勉強は楽しいのでついついそっちばかりになりがちなのですが、社会のこともちゃんと目を向けていかなければと改めて思ったひと月でした。それではまた来月。お元気で楽しい夏をお過ごしください。