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2018-08-10

つごもり月報 和暦水無月(2018.07.13-08.10)

今日で和暦の水無月が終わり、明日から文月。これまでのひと月の近況報告です。

和暦で「水の無い月」の名の通り、本当に雨の降らないひと月でした(無は「の」の当て字で「水の月」との解釈もありますが…)。例年にない厳しい暑さが続いていますが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。立秋も過ぎ、そろそろたまに風の涼しさを感じる日も出てくるころなのではと期待しています。それでは、それでは、水無月の晦日(つごもり)、今月のいろいろをお伝えします。(書きやすいのでなんとなくお題のようなものを設定しています。つごもり月報を始めた経緯については初回の記事をご覧ください→vol. 1

【Talk Over Some Tea】
遊びにきてくれたらお茶でも飲みながら話したいよもやま話といった感じのコーナーです。
去年まで冷房を使わないで暮らしていたのですが、今年は2回、熱中症になってしまいました。2回目は身体へのダメージが大きかったようで回復に1週間もかかってしまったので、今年の暑さには降参して冷房を使って過ごしています(普段過ごしている古い大きな家とは別に小さな離れがあり、そちらに冷房があります)。

冷房は電気をたくさん使うため、気候変動の原因の1つになっているというのに、気候変動による酷暑に対処するのに冷房を使わざるを得ないという悪循環…。

罪悪感を覚えつつ、冷房のきいた部屋で翻訳仕事をしていると、カリフォルニア州が温室効果ガス排出量の削減目標を達成し、排出量が1990年水準以下になったという記事が目に止まりました。(関連記事でグラフもあってわかりやすいものがあったので、以下にリンクを貼っておきます:California hit its climate goal early — but its biggest source of pollution keeps rising [Los Angels Times JUL 23, 2018]

経済も成長しており、経済活動が縮小したからではないとのこと。再生可能エネルギー分野の伸びが主な要因で、技術革新によって快適な暮らしと温室効果ガス排出量の削減は両立が可能だということがわかり、希望を感じる記事でした。カリフォルニア州では2030年までに温室効果ガスをさらに40%削減することを目標としています。

ただ、再生可能エネルギーと一口に言っても、山や畑を潰して作られるメガソーラーは嫌いです。山の斜面などで自然を破壊して、コンクリートで固めてソーラーパネルを大量に設置したり、食料を作ることができる田畑を潰してソーラーパネルだらけにしているところも、最近では多く見られるようになりました。景観が悪くなるだけではなく、植物の光合成による二酸化炭素の吸収も減ってしまうし、根を張り巡らせて土留めになっている木々や植物がなくなるため、土砂災害なども起きやすくなってしまいます(7月の豪雨では、兵庫県姫路市でメガソーラー発電所のソーラーパネルが滑り落ちる事故も)。草が伸びると発電量が下がるという理由で、除草剤をまきまくるという問題もあるようです(除草剤の主成分グリホサートは発がん性が指摘されている)。海外では、砂漠や工場跡地など、もともと草木の生えない場所の有効活用として考えられるのが普通で、日本のように自然を破壊してソーラーパネルを張り詰めるというのは無茶苦茶な話のようです(ジャーナリスト高野孟さんの記事を参照)。

気候変動を悪化させずに、気候変動に対処する方法が、さまざまな方面から開発されていくといいのになぁと思います。

【てしごと】
・リネンの鍋つかみ
参考にした本では中にキルト芯を入れるとありましたが、化学繊維ではないキルト芯が見つからなかったので、家にあったタオルを代用。本のお手本のようにぱりっとはならず、持った感じもふんわりとはしないのですが、使う分には申し分ありません。見た目を重視するとポリエステルのキルト芯が良いのかもしれないけれど、環境に還るかどうかを重視すると綿100%のタオルのほうが良いのかも、と思ったり。何を優先するかを考えて、最適なものを選べるのが、手づくりのよいところだと思います。

・刺繍のヘアゴム
北欧の刺繍の本を図書館で発見し、余っていたラミーの布(麻の一種)に伝統柄を刺繍してヘアゴムに仕立てました。糸を大切にする文化から、裏側に渡る糸が最小限になるように考えられたステッチの手法が載っていて、資源を大切にしようとした昔の人の生活の知恵に感動しました。

【最近読んだ本から】
このひと月に読んだ本からよかったものを紹介します。
『「女子」という呪い』(雨宮処凛・著/集英社クリエイティブ・刊)
先月の『Black Box』(伊藤詩織・著)で、性暴力の根底にはやはり根強い男女差別観があるということを改めて認識したので、今月も男女差別について考察した本を読みました。

上記のリンク先には、著者の雨宮処凛さんのブログ記事を貼りましたが、こちらで前書きの一部が公開されています。「女子力」という言葉を聞くたびにもやっとしていた私なんかにはとても共感する内容でした。

表紙には、

「男以上に成功するな」
「お前は女の本当の幸せを知らない」
「女はいいよな」「女はバカだ」
「男の浮気は笑って許せ」
「早く結婚しろ」「早く産め」
「家事も育児も女の仕事」
「男より稼ぐな」「野心は持つな」
「若くてかわいいが女の価値」
「カタいこと言うなよ」
「知らないふりもできないのか」
・・・・こういうオッサンを、確実に黙らせる方法、あります☆

とあり、そんな方法があるなら知りたいものだと思いました。

表紙の「この国(=日本)で女子でいることはかなりしんどい」という言葉に、そう感じてきたのは自分だけではなかったんだと思いました。「女子力」を求められるのも測られるのもうんざりするし、男よりも知性を見せると迫害にあうし、「結婚しろ+名字を変えろ(女性が改姓するケースが日本では96%)」&「子どもを産め」というプレッシャーもしんどい。そういうしんどさが深刻にならずにおもしろく読める感じでわかりやすく書かれています。「女子」のしんどさを感じている女性は結構いるようで、Twitterのハッシュタグで検索すると共感してしまう投稿がたくさん出てくるそうです。

以前勤務していた職場は、外国人も多かったせいか、完全に日本的な感じではなかったので、幸い、雨宮さんほど悲惨な目には遭ってきませんでしたが、日本の女性の生きづらさってここまで大変だったんだな、と唖然ともしました。

雨宮さんの本によると、おとなりの韓国では、男性も「フェミニスト(男女平等主義者)」でなければダサいという感覚になってきているそうで、日本もそうなればいいのになあと思いました。

【編集後記みたいな】
ちょうど『「女子」という呪い』について書いていた日に、東京医科大学が女性の合格者を減らそうと一律で減点していたという驚愕のニュースを相方が教えてくれました。相方は男ですが、自分ごとのように怒ってくれたのがうれしかったです。これはまだまだ氷山の一角だろうと思いますが、真実が明るみになったことで、女性が生きづらさを感じずに、自分らしく個性や能力を十分に発揮でき、望む人生を創りやすい世界に向かっていくように願っています。