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2019-08-29

つごもり月報和暦文月(2019/08/01-08/29) ver. 2-vol. 12

今日で和暦文月も晦日(つごもり)、明日から和暦葉月となりました。まだ蒸し暑い日もありますが、だいぶ暑さも落ち着いてきて、朝夕、空を見上げると、うろこ雲が広がっていることもあります。今年は秋の訪れが早いような感じがします。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。夏の疲れなど出ませんように。

ご縁のあった方々への近況報告も兼ねて、毎月の晦日にひと月のあれこれをお伝えしています。ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。それでは、和暦文月のつごもり月報をお届けします。

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【1】These days ... ―最近のあれこれ:藍のこと
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:disorder
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:「海へ…」
【5】Books&Music:今月は本『白崎裕子の必要最低限レシピ』
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【1】These days ... ―最近のあれこれ:藍のこと
今年は初めて藍を育てています。秋になって花が咲くと藍色の成分が少なくなるとのことで、そろそろ刈り取りをして染めをしてみるギリギリな時期のようですが、夏野菜も草も元気で、なかなか手が回りません…。

少しずつ準備だけ進めています。まず、沈殿藍を作るための容器。60リットル~200リットル入る容器が必要とのことで、予算的にプラスチックでも仕方ないかな…と思っていたのですが、知り合いの古道具屋さんに相談したら、古い大きめの陶製の瓶(かめ)を手の届く値段で譲っていただけることになり、4ついただいてきました。その後、藍建てという発酵させる行程があり、発酵の菌はやっぱり自然の素材が好きなので、陶製の瓶にできて本当に良かったです。

藍を建てるのに、アルカリ性にする必要があるため、現在は工業用石灰とハイドロサルファイトというものがよく使用されるそうですが、肌に触れるものを染めるのと、土に流してよいものか不安なのもあって、相方がよくよく調べてくれて、貝灰という貝殻からできた天然のアルカリ剤を取り寄せて使うことになりました。アルカリ性の強い木の灰を使うことも昔はあったようですが、今回は灰を用意するのが間に合わないので、また次回以降、試してみたいと思います。

実際に自分でやってみると、いくら「藍染め」「植物染め」と言われていても、さまざまな化学物質を使ったり、水や土に流したりする場合もあるんだなあと、たいへん勉強になりました。自分で実際にやってみると、本当に自然なやりかたで染めに取り組まれている方々のありがたさがよくわかり、本物を見る目も育っていくと思いました。まだ準備段階ですが、どんな色に染まるのか楽しみです。

【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:disorder
今回取り上げるのはdisorderという単語です。「秩序(のある状態)」を表すorderに反対の意味を表す接頭辞のdis-が付いてできた名詞です。文脈によって、「混乱」「無秩序」「障害」などと訳されます。

今回、この単語が気になったのは、7月の参議院選挙でれいわ新選組の比例代表候補者として立候補された安冨歩さんの記事を読んだことからでした。安冨さんの論考を以下に引用させていただきます(「性的少数者もLGBTも、存在しない。性同一障害だって、存在しない。」[2019年7月15日]より)。
そもそも、「性同一性障害」は誤訳だ。Gender Identity Disorder という英語の disorder は、もともと、order が秩序であるから、無秩序や混乱を意味する。医学用語ではたとえば、

disorder of autonomic function 自律神経機能(の)障害

というような用例があるが、これは、自律神経という身体の機構がちゃんと作動していない、という状態を表す。それゆえ「障害」と無理に訳せなくもない。
これに対して、Gender Identity Disorder の場合の Gender Identity は、身体の機構ではない。それは抽象的概念である。抽象的概念が「不調」になったりしない。それゆえこれを「障害」とは訳せない。この場合の Disorder は「無秩序、混乱」を意味する。男の身体なら、自分を男だと思うのが「秩序」であり、「女」の身体なら、自分を女だと思うのが「秩序」であって、逆になっていれば「無秩序、混乱」ということになる。

それに Identity というのは日本語に訳せない厄介な言葉である。「同一性』と訳しても、なんのことかわからない。これはおそらくキリスト教を背景にした宗教思想が背景にあって、日本語の世界観と合致していないのである。この場合の意味は、「性自認」とでも訳すほうが意味が通じると思う。

それゆえ、Gender Identity Disorder は「性自認の混乱」とでも訳すのが適当であろう。
「障害」という訳が定着してしまっている今、状況によっては「障害」と訳さざるを得ないこともありますが、なるべくなら安冨さんのおっしゃられる正確な訳語を使いたいものだと感じました。

【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
リーディング素材として毎月1本、英文記事をご紹介しています。

今月はpositive newsからこちらの記事をご紹介します。
Repair and share: the global grassroots repair cafe network
(positive news 2019/05/10)[約322語]

BBCで日本で「リペアカフェ」が広がりつつある、という記事を読み、調べていたら、リペアカフェについて読みやすいサイズにまとめられているこちらの記事を見つけました。

こちらの記事はイギリスのグラスゴーの事例です。家電製品や衣類、食器など、さまざまなものをコミュニティの人々と協力しながら直して再び使うことを目的とした取り組み「Repair Cafe」が世界的に広がっているそうで、何百ものプロジェクトが世界中にあるのだそうです。

直して使えたらいいのに、と思って捨てられずにいるものが私もいろいろあります…。日本でもリペアカフェが身近になるといいなあと思いました。

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:洗濯洗剤「海へ…」
今月は、100%植物由来成分でできた生分解する洗濯洗剤「海へ…」をご紹介します。つい最近、リニューアルしたそうです。発売から20年が経ち、2013年から研究を重ねてきたそうで、なんとすすぎ0回でOKになったとのこと。我が家は洗濯機は使わないので、手洗いなので、すすぎがなくて済むのは楽になってうれしいことです。

洗濯用の洗剤は、なるべく、天然素材だけで作られていて、肌にも自然に負担の少ない洗剤を選ぶようにしてきました。さまざまな変遷を経て、ここ最近は2つに落ち着き、そのうちの1つが「海へ…」です。ここ数年、泡でよく汚れを浮き上がらせたいものと、ウールやシルク、ダウンジャケットなどの動物性素材(アルカリが苦手で中性洗剤が適する)には「海へ…」を使ってきました。「海へ…」は植物由来の成分100%でできていて、その内訳産地Q&Aページに明確に書かれています。

前のがまだ残っていたのですが、早速使ってみました。これまでのバージョンよりもサラッとしている感じがしました。畑仕事で土汚れのついたTシャツを洗ったら、浸けていた水に汚れがみるみる出ていくのがわかりました。一応すすぎで水を溜めたら、いつもよりも水の汚れが少なくて、たしかに、すすぎなしでも行けるかも、と思うほどでした。手洗いなので、手荒れがないかどうかもかなり重要なポイントなのですが、新バージョンもまったく手が荒れませんでした(私の手は肌がすごく弱いというわけではないのですが、強いほうではありません)。

1回あたりの使用量が少ないので、1パックでかなり持ちます。これ1本でなんでも洗えるというのも助かっています。

【5】Books&Music:今月は本『白崎裕子の必要最小限レシピ』
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は本のご紹介です。

今月は白崎裕子(しらさき・ひろこ)さんの料理の本『白崎裕子の必要最小限レシピ ――料理は身軽に』(白崎裕子・著/KADOKAWA・刊)をご紹介したいと思います。

白崎さんの本との出会いは、ぐるっぺという自然食品店の本コーナーに『にっぽんの麺と太陽のごはん』という本があり、一目惚れして買って帰ってきたことから始まりました。それ以来、『秘密のストックレシピ』『かんたんデザート』『うかたま5年分白崎裕子の料理とおやつ』などなど、白崎さんの本を読ませていただいたおかげで、かんたんにおいしく楽しく料理ができるようになってきました。(本の一覧は白崎さんが主宰する「白崎茶会」のウェブサイトを御覧ください)

生きるためにできるに絶対越したことのない料理。それほど嫌いではないものの、めんどくさいなー、買って済ませたいなあ…とついつい思ってしまいがちでしたが、白崎さんの本のおかげで、「作って食べたほうが速いし、おいしい」と思えるようになりました。

数々のレシピの根本となる考え方やコツがぎゅっと詰まっているのがこの『必要最小限レシピ』です。お客さんに出すご飯でなければ、これで十分満足できる上に、料理の勘どころがついてきて上達して、料理がますます楽に楽しくなる本でした。塩だけで舌の感覚を鍛えるスープの訓練も、感覚が磨かれてとてもよかったです。料理ってこんなにシンプルでよかったんだと思えて、料理がめんどうで苦しいもの、という観念が、すーっと消えていく一冊でした。
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このバージョンでも、早いもので一巡したようで、次号から少しリニューアルを考えています。この状態だと、やっぱり、文字ばかりで読みにくいのかな、というのと、検索で来てくださった方にも、必要な情報が探しにくいのだろうなあ、とアクセス解析を見て思ったのもあります。

まだどんなふうにするか全くイメージができていない状態で、ひと月後には間に合わないかもしれませんが、なるべく早めに決めて、戻ってこられたらと思っています。定期的に読んでくださっていた方には申し訳ありません。不定期になる可能性もあるかもしれません。また決まり次第、こちらでお知らせさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。