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2019-07-31

つごもり月報和暦水無月(2019/07/03-07/31) ver. 2-vol. 11

今日で和暦水無月も晦日(つごもり)、明日から和暦文月となりました。和暦の水無月は、梅雨が明けて、晴れの日が続き、雨が少ない月のことですが、今年は梅雨が遅れて始まって長かったので、水の多い月でした。このところは夏らしい晴天が続いています。サルスベリの花が咲いて青空によく映えます。

ご縁のあった方々への近況報告も兼ねて、毎月の晦日にひと月のあれこれをお伝えしています。ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。それでは、和暦水無月のつごもり月報をお届けします。

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【1】These days ... ―最近のあれこれ
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介
【5】Books&Music:今月は音楽
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【1】These days ...:畑のある暮らし
最近のあれこれを書いてみようと思います。

最近は、朝の涼しいうちに、朝食前に畑へ行って、2時間くらい草の管理や整枝などの手入れをして、お昼間は暑いので家の中でできるしごとをしたり、本を読んだりして過ごし、夕方また涼しくなってきてから、また畑へ行く、という感じの日々です。日が暮れるのが遅いので、ついつい畑に長いこといて、帰ってきて夕食を取るともう21時近くになっていてびっくりすることもあります。夏は夜が短くて、あっという間に寝る時間がやってきます。

種から育てた夏野菜がすっかり大きくなり、いんげん、ミニトマト、なす、オクラ、ピーマン、ズッキーニ、きゅうり、ゴーヤ、ツルムラサキ、空芯菜、モロヘイヤ、スイートバジル…などなど、たくさん収穫できるようになってきて、朝畑へ行くと、1日分の野菜がとれるようになりました。

庭や畑で育ったハーブを摘んで、ガラスピッチャーに入れて水を注いで水出しハーブティーに。冬を越せたレモングラスは無事に大株に育ち、レモンバームやミント類も地下茎でどんどん増えてわさわさしています。

ホーリーバジルは去年まで、種を直まきしてもなかなか芽が出てくれなかったのですが、今年はポット蒔きでうまくいって、大きくなってきました。ホーリーバジルの味は、ほんの少し入れただけでもフローラルないい香りがして、煮出しても苦味が出なくて、とても飲みやすいです。毎年育てたいくらいおいしいです。

野菜を買わずに、畑で育った野菜だけを食べて過ごせるようになったのはこの夏が初めて。なんとも言えない充実感と幸福感があります。畑しごとをするのがますます楽しみになっています。

【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:inclusive
今日取り上げるのはinclusiveという単語です。

inclusiveは動詞include(~を含む、包含する)から派生した形容詞。「包摂的な」と訳されることもあります。だれも排除しない状態のことを指しています。

とは言っても、だれも排除しない状態、包摂的な状態、というものが、イメージしにくいのは、経験したことがないからなのでしょう。日本にはめったに存在していないように感じます。exclusive(排他的な)の対義語なので、排他的の反対と考えるとなんとなくイメージしやすくなるのは、exclusiveな状態は至るところで経験しているからなのでしょう。

日本にはまだ固定観念が根強く存在していて、それに当てはまらない人は居心地のわるい思いをします。完全に当てはまる人のほうが少ないはずですが、自分を守るために、無意識のうちに、固定観念にはまりにいってしまう人も多いのかもしれません。

本当に思っていることや感じていることを話すを排除されたり、変な目で見られたり、そういったことを恐れて、本当の自分を隠して、自分に対して想定されている型を予想して、まわりに自分を調律して「なじむ」「溶け込む」「浮かない」ようにしても、本当の意味で排除されていないとは言えないと思います。なんとなく空気を読んで、まわりに合わせているうちに本当の自分を見失ってしまうおそれもあります。本当に思っていることや感じていることを安心して語ることができないということは、まだまだexclusiveに寄っている社会なのだと思います。

inclusiveはそういった文脈で使われることはあまりなくて、多くの場合、マイノリティの方や、障害を抱えている方、貧困などの問題を抱えている方が、排除されないように、みたいな文脈で使われます。たとえば、収入が少ない家庭の子どもも、収入の多い家庭の子どもと同じように教育が受けられる、など。

inclusiveという言葉で思い出すのは、社会の不公正の是正に取り組んでいる藤田孝典さんの以下の記事です。
川崎殺傷事件「死にたいなら一人で死ぬべき」という非難は控えてほしい(2019/5/28)
この記事にある「社会はあなたを大事にしているし、何かができるかもしれない。社会はあなたの命を軽視していないし、死んでほしいと思っている人間など1人もいない、という強いメッセージを発して」いる社会は、inclusiveな社会の1つの形だと思います。その後の対談記事によると、この記事に対して、当初はだいたい批判9割、賛同1割、しばらくして批判6割、賛同4割、という反応だったそうです。inclusiveな世の中を考えられる人も少しはいるんだなあと、これからもっと増えていくといいなあと思いました。

【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
リーディング素材として毎月1本、英文記事をご紹介しています。

今月はBBCからこちらの記事をご紹介します。
Greta Thunberg to sail Atlantic for climate conferences(BBC NEWS 2019/7/30)[約331語]
和暦睦月の記事でGretaさんのスピーチをご紹介しましたが、気候変動への対応の遅れに抗議して、毎週金曜日に学校を欠席してスウェーデン政府の前でスタンディングをしているGreta Thunbergさん。その活動が世界中の若者をインスパイアし、学校を休んでスタンディングやデモをする学生が増えて、世界的に有名になっています。

9月23日にニューヨークで開かれる国連の会議に出席したいものの、二酸化炭素排出量が多い交通手段を使いたくはなく、飛行機や大型船以外の交通手段を探していたところ、思わぬ助け舟が差し伸べられたというお話です。

大切にしていることを妥協せずに貫く姿勢を見習いたいと思いました。また、自分が大切にしていることをぶれずにしっかりと貫いていれば、ぴったりの助けが見つかるものなのだというのも勉強になりました。(こちらの記事には日本語版もあります。読解の確認などにお役立てください。)

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:WECKのガラス容器

今月ご紹介するのはWECKのガラス容器。ドイツで作られているリサイクルガラスの容器で、フタもガラス製です。密閉するためのパッキンも天然ゴムでできています。見た目もシンプルできれいなのも気に入っていて、重ねられるのも良いです。食べ物を長期保存するために脱気して密閉するときも、タブが下向きになったら脱気成功とわかりやすいのも助かります。

最近『プラスチックフリー生活』(シャンタル・プラモンドン、ジェイ・シンハ  著/服部 雄一郎 訳/NHK出版 刊)という本で、プラスチックに含まれる有害な化学物質のことを知って、なるべくプラスチックは避けたいと改めて思うようになりました。それだけではなく、プラスチックが環境にわるいのはもちろんのこと、私たちが出したプラスチックのごみは、土に還ることも消えることもなく、マイクロプラスチックになって水や海塩や空気に入り込み、私たちの体内に戻ってきていることは、ニュースなどでも報じられている通りです。

ガラス瓶の金属製のフタの裏面にも、プラスチックの一種のPVC(ポリ塩化ビニル:本では「絶対避けたい」に分類されている)が使われていることが多いとのこと。「PVC」の表記がないものが多いので判断しにくいのが困りものです。果実酒用のビンのパッキンによく使われているシリコンも完全に安全とは言い切れないようです。

完全にプラスチックフリーの容器として紹介されていた1つがWECKのガラス容器でした。フタと容器はガラス、パッキンは天然ゴム、フタをとめるためのクリップはステンレス製。うちでも以前からプリンを固めたり、ピクルスを漬けたり、バスソルトを入れたりするのに使っていましたが、「そんなによいものだったとは!」とちょっと感動しました。お財布と収納スペースと相談しつつ、少しずつ増やしていこうと思っています。

【5】Books&Music:今月は音楽『Wildflowers』(Tom Petty・1994)

おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は音楽のご紹介です。

今月はTom Pettyさんの『Wildflowers』をご紹介します。アルバムタイトルになっているこちらの曲は、1994年のアルバム『Wildflowers』に収録されています。

カフェで仕事をしていたら流れ出して、「なんだこのいい曲は!」と歌詞をメモして、「You belong among the wildflowers…」と打ち込んで検索して知りました。

belong(所属する)はto(~に)を伴うと、学校時代に徹底的に叩き込まれた記憶がありますが、繰り返される歌詞に出てくる「you belong among the wildflowers」、「you belong in a boat out at sea」、「you belong somewhere you feel free」など、toが一切使われていないのも、ちょっと感動でした。

toは方向性が相手に直接向かう感じで、belong to(~に所属する)は自分よりも所属している団体のほうが優先される感じがします。amongやinだと、その中に存在しているだけでゆるくつながっているじがして、個々の存在もtoよりももっとはっきり見えて素敵な表現だと感動しました。

歌詞を書き取っていたら、こんな一節が聞こえてきました。
let your heart be your guide
「自分の気持ちを指針にして」という意味なのですが、ちょうど、「これでいいのだろうか…」と迷っていたときだったので、すごく励まされました。それ以来、ときどきふと口ずさんでは勇気づけられる曲です。

スポティファイでも聴けます。
https://open.spotify.com/track/2Pr1nZpt8A8WP7QYpyq6L3
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このひと月は涼しい日も多く、雨の合間にお昼間でも外仕事ができるくらいの日もありましたが、ここ1週間ほどはいよいよ夏本番という暑さになってきました。みなさんのお住まいの地域も、厳しい暑さになってきているのではと思います。お互いに、暑さに負けないように身体に気をつけて、夏を満喫しましょう。ではでは、また来月。