ページ

2018-11-07

つごもり月報―和暦長月(2018/10/09-11/07)ver. 2-vol. 2

和暦長月の晦日(つごもり)となり、明日から和暦の神在月となります(神無月でも神在月でもどちらでもよいという考え方もあるそうで、神在月のほうがうれしい感じがするので神在月にしています)。和暦長月のつごもり月報をお届けします。

ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。

=================================
【1】These days ... ―最近のあれこれ:お砂糖を食べないでみる実験
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:Sibling
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:穀物コーヒー
【5】Books&Music:今月は音楽『We Are The World』
=================================

【1】These days ...:お砂糖を食べないでみる実験
最近のあれこれを書いてみようと思います。

お砂糖を食べないでみる実験をして1か月余りが経ちました。

9月25日から開始して、外食で味付けに砂糖が入っている料理や、おまけでいただいたお菓子まで避けるのは心苦しいので食べていましたが、おむすびや甘栗を持ち歩いたりして外食そのものを避けるなど、極力食べないように気をつけました。砂糖を食べたのは5~6回だったかと思います。

これまでも精白された白砂糖(さまざまな側面から身体にわるいとされる)はなるべく控えていましたが、もともと甘いものは大好きで、精白された砂糖以外で甘味づけされたお菓子なら「まあ、大丈夫なのでは?」とあまり気にせずに食べていました。

白砂糖以外も含めてお砂糖をすっかり食べなくなった人が、「冷え性がよくなった」「イライラや気分の浮き沈みがなくなった」「頭痛が治った」「肩こりがなくなった」といった話をしているのを聞いて、何度かトライしたこともありました。でも、お砂糖を一度食べるとまた食べたくなり、「これくらいならいいかな?」の制限がどんどん低くなって、卒業への道のりは遠いままでした…。

粗糖や黒砂糖、ココナツ蜜糖、メイプルシロップ、アガベシロップといった精白された砂糖以外の糖でも身体に負担がかかるという話もあり、気にはなりながらも知らないことにしておこう…と調べずにいましたが、最近、直接糖の害を改めて知り、ついに断糖を決意しました。やめて2~3日後と、1週間後くらいに街に出ると、チョコレートにココア、プリンにアップルパイ、地元の栗のジャムを載せたバニラアイス…おいしそうなものだらけで結構つらく、これが禁断症状というものか、という感じでした。

その禁断症状の時期を乗り越えると、甘いものが食べたいという欲求はそれほど起こらなくなり、ちょっと気になる程度でやり過ごせるようになりました。甘いものがないと無理だと思っていた頭を使う仕事のときも、食べないのが標準になると結構どうにかなるものでした。

1か月経ってみて、一番わかりやすい変化は歯茎から全く血が出なくなったことでした。次に顕著だったのは、精神面への効果。頭もすっきりしている感じがするし、だれかからされた至らないことに対して以前はイラッとしがちでしたが、少し冷静に対処できるようになったような気もします。

今後どのような変化が出てくるのか、もう少し経過を見てみたいと思います。 
 
【2】English Words Pick Up―今月拾った英単語
今日取り上げるのはsibling(複数形はsiblings)という単語です。

同じ親から生まれた子どものことを指し、性別を明らかにせずに「兄弟姉妹」を表すことのできる名詞です。

学生時代、尊敬する通訳者の方が、brother(兄または弟)という単語が入った英文を高校生に訳してもらったところ、「年が上か下かわからないので訳せない」と言われたというエピソードとともに、「言葉は文化だ」というお話を講演でされていたのが深く印象に残っています。sister(姉または妹)とbrother(兄または弟)は、性別だけは明らかになっているので、年が上か下かがわかれば、当てはまる日本語に置き換えることができますが、siblingは性別も明らかになっていないので、いつもどの日本語にしたらよいのか悩みます。

日本語だと、自分と同じ親から生まれた家族の話をするときに、性別と年齢差を明らかにしなければ呼称が定まりませんが、英語では明らかにしたければ明らかにでき、明らかにしたくなければ明らかにしなくてもよいという自由が、話し手に与えられています。年が上で男だと言いたければ、older-brother、年が下で女だと明らかにしたければyounger-sister、性別も年齢差も明らかにする必要がないと思えばsiblingで済みます。

性別、ジェンダーというのはとても複雑で繊細なもの。タブー視され、抑圧されてきた、マジョリティとは違うジェンダーの方々が、まだまだ偏見は多いものの、少しずつ本当の自分を明らかにしやすくなってきた現在、トランスジェンダーの方や、ジェンダーフリュイド(流動的な性)の方など、男か女かという二項対立だけで言い表せないジェンダーの方もいらっしゃることが社会で理解されるようになってきたように思います。そんななかで、英語の文章ではsiblingという単語を見かけることが増えてきたような気がします。日本語でもこのような包摂的な言葉が使われるようになるといいなあと思います。

【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
今月はCNNからこちらの記事をご紹介します。
Bernie Sanders praises Jeff Bezos on Amazon $15 minimum wage(CNN 2018/10/02)[約562語]

Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)さんはアマゾンのCEOで、Forbes誌の2018年版世界長者番付で1位になりました。

Bernie Sanders(バーニー・サンダース)さんは、アメリカの無所属の上院議員です。2016年のアメリカ大統領選挙では企業献金をいっさい断り、市民からの少額寄付で選挙活動を行なうなど、新しい風を巻き起こしました。予備選挙でヒラリー・クリントンさんに破れましたが、現在も議員の立場で、一般市民の声を代弁し、Fight for $15(15ドルを求める闘い)などにも参画しています。

最近、インターネット通販大手のアマゾンがアメリカ国内で社内の最低賃金を非正規も含めて全国一律15ドル(約1700円)に11月1日から引き上げるというニュースがありました。日本語の媒体だとアマゾンが広がる批判に折れて最低賃金を15ドルに上げることにした、というような取り上げ方が多いように感じましたが、こちらの記事を読んで、アマゾンの賃金引き上げのニュースの背後には、やはりサンダースさんの尽力があったのか、と思いました。

地道な抗議活動に加え、従業員が普通に働いてもまともな暮らしができないような賃金を設定している大企業に課税する法律を通したことが、賃金引き上げの大きな要因となったようです。この法律は「Stop BEZOS」とも呼ばれているとのこと。

ベゾスさんもアメリカ全国で最低賃金を15ドルに引き上げるようにロビー活動を展開すると述べていて、最初は非難される側だった人が仲間になっているのを見て、ベゾスさんの柔軟性も、サンダースさんの引き込み力も、すごいなぁと思いました。

アマゾンの賃金引き上げのニュースは、いただいた翻訳のお仕事で関連記事を訳す機会があり、訳語を決めるためにリサーチしていると、「バーニー・サンダースに感謝しよう!」といったタイトルの英語ブログ記事がいくつか目に入りました。わりとかっちりしたニュースソースで背景を説明している記事がないか探したところ、こちらのCNNの記事を見つけました。日々の暮らしに政治は関係ないような感じもしがちですが、バーニー・サンダースさんのような議員さんがたくさんいれば、賃金が7.25ドルから15ドルにいきなり上がったり、暮らし向きがよくなるということもあるのだなぁと思いました。

ちなみに、日本の最低賃金は諸外国と比べてもアメリカと同じくらい低水準にとどまっていますが、日本の最低生計費調査によると、「あたりまえの生活」に必要な費用は、税・保険料込みで月に約22~24万円(全国でほぼ同じ)で、過労死しない普通の働き方でこの月額を得るには最低賃金は全国一律で時給1500円以上にしなければならないと言われています(データは福祉国家構想研究会blogの中澤秀一准教授(静岡県立大学短期大学部)の記事を参照しました)。

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介
今日ご紹介するのは、Bottega Baci(ボッテガバーチ)の有機穀物コーヒーです。コーヒーを控えたいけど、コーヒーっぽいものが飲みたい方におすすめです。

コーヒー風の飲み物は、玄米コーヒー(玄米を黒煎りしたもの)やたんぽぽコーヒー(たんぽぽの根っこを煎ったもの)などなど、いろいろありますが、「コーヒー??」という味で、どうもコーヒーを飲んだ気分にはなれないものが多いような感じがします。コーヒーだと思わなければ、それそのものとしてはおいしいのですが、それでも求めているのはあくまでもコーヒーっぽいもの。いろいろ試してみて、数点、コーヒーにかなり近い味の代替飲料を見つけました。そのなかでもわりとお手頃な値段なのがこのBottega Baciの有機穀物コーヒーです。豆乳を加えてカフェオレ風にするとかなりコーヒーに近い味だと思います。

原料は有機ライ麦、有機麦芽、有機大麦、有機チコリ、有機いちじく。ポーランドで作られています。パッケージも愉快な猫のイラストで、置いているだけでもかわいいです。コーヒーほどは、飲んだ後に身体が冷えた感じはせず、胃が痛くなることもなく、夜寝付けないこともなく、だんだん味もこっちのほうが好きになってきたような気がします。

【5】Books&Music:今月は音楽『We Are The World』
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は音楽のご紹介です。

今月は音楽の第1回目ということで、私が英語が大好きになるきっかけになったこの曲をご紹介したいと思います。USA For Aficaの1985年の作品『We Are The World』です。

この曲が生まれた背景を題材にしたパッセージを、中学生のときに地区の英語暗唱コンテストで暗唱しました。当時、ALT(アシスタント・ランゲージ・ティーチャー)として外国からいらしていた先生との交流が英語が好きになるきっかけになりました。内容をよりよく理解できるようにと、マイケル・ジャクソンさんやライオネル・リッチーさん、スティービー・ワンダーさんなどなど、そうそうたるメンバーが、レコーディングをする様子を収めたドキュメンタリー映像のビデオも見せてもらいました。

レコーディング・スタジオの入り口に「エゴはここで一旦預けよう」と書かれていたり、マイケル・ジャクソンさんが真剣に録音していたパートでも相談の結果で潔くカットしたり、普段は音楽業界で競い合うライバルたちが1つの楽曲を協力して完成させていくなかで大きな一体感が生まれていったり、といった様子が、今も印象に残っています。

だいぶ後になって知りましたが、この曲にはデモ版があり、こちらのほうがより現実的な歌詞でした。USA For Africaのバージョンのほうがアメリカの多くの人々が共有しやすいキリスト教的な言葉の強い歌詞になっていたので、多くの人々に共感して広げてもらうには、もしかしたらこちらのバージョンのほうが良かったのかもしれません。ちなみにその後、We Are The World 25 for Haitiというバージョンもできています。

***********
和暦長月のつごもり月報、お楽しみいただけましたら幸いです。朝晩の冷え込みもぐんと厳しくなり、今朝は4℃でした!いよいよ、冬到来、という感じがしますね。風邪など引かれませんように、あたたかくしてお元気でお過ごしください。