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2018-12-06

つごもり月報―和暦神在月(2018/11/08-12/06)ver. 2-vol. 3

今日で和暦神在月の晦日(つごもり)。明日から和暦の霜月です。和暦神在月のつごもり月報をお届けします。現行の暦では12月と、2018年も残すところあとひと月を切ったとは、1年は早いものです。

ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。
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【1】These days ... ―最近のあれこれ:ハーブの冬越し
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:resilience
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
【4】Happy Things―お気に入り紹介:アリサン・オーガニックひよこ豆
【5】Books&Music:今月も音楽『Little Drummer Boy』
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【1】These days ...:ハーブの冬越し
最近のあれこれを書いてみようと思います。

朝起きて温度計を見てみると氷点下を指している日もちらほら出てきました。昨年の冬は寒さが厳しく、半耐寒性のハーブは持ちこたえましたが、非耐寒性のゼラニウムを枯らしてしまいました…。今年の春に新しく植えたハーブは半耐寒性~耐寒性のものにしましたが、お茶にしたくて植えたレモングラスだけは非耐寒性。苗を購入したお店の説明によると、比較的温暖な地域では、冬になる前にばっさり刈りとって、保温をすれば冬越しできるとのことだったので、ばっさりと収穫しました。

植えたときは小さな苗でしたが、すくすく育って、刈ってみると一抱えほどの束が5束できました。太い茎の中をそのままにして干すと中のほうがなかなか乾かないので、茎は取り出してスープの香り付けに。具だくさんのスープに入れてことこと煮てみたら、爽やかなレモンの香りが移って、すっかりタイ料理な雰囲気になりました。茎をサラダにして食べることもあるようですが、うちのは硬すぎて食べるのは無理そうでした。

残りの葉っぱはよく乾かして適当に切ってお茶に。ショウガとブレンドして飲むのが最近のお気に入りです。

【2】English Words Pick Up―今月拾った英単語:resilience
今日取り上げるのは、resilienceという単語です。形容詞のresilient(「弾力(性)のある」「回復力のある」といった意味)から派生した名詞です。

英和辞典を引いてみると、「回復力」「立ち直る力」「弾力(性)」などの訳語が見られます。気候変動などの環境の話題や、防災の文脈で「弾力(性)」に近い意味で使われている場合は、日本語に置き換えるのが難しく、そのままカタカナ語で「レジリエンス」と表記されていることも多く見受けられます。翻訳で出会うと、どう訳そうかよく悩む単語の1つです。ワタシ的には「なにかあっても元に戻る力」というのが基本的な意味と捉えています。

例文を挙げてみます:
This new policy is designed to reduce carbon emissions and improve resilience against climate change.

この文は「この新しい政策は、二酸化炭素排出量を削減し、気候変動に対するresilienceを高めるために考案された」という感じの意味になりますが、このresilienceに「弾力性」をあてはめて「気候変動に対する弾力性を高める」としてもわかりにくい日本語になってしまうので、こうした文脈では「レジリエンスを高める」などとあえてカタカナ語が当てられていることも多いです。

もともとはおそらく、物理で使われていた言葉なのではないかと思いますが、物質が押されたり、圧迫されたり、凹まされたりしても元の状態に戻る能力のことを表します。英英辞典を引いてみると、語義がつかみやすいと思います。

この例文の場合は、気候変動で異常気象が起こったり、海水面の上昇が起こったり、といった困ったことが起こるかもしれない、もしくは現在起こっている、そうしたときに伴って起こる困難があっても、たいして困らずに平常通りに過ごせる、あるいは、すぐもとに戻れるといった能力のことをresilienceと表現しています。

心理学や心の健康の文脈でも見受けられ、ストレスがきつかったり、嫌なことを言われたり、されたりしても、すぐに元気を取り戻す力をresilienceと表現することもあります。心のresilienceを高めるのはなかなか難しいですが‥。打たれ強くなりたいものです。

【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
今月はGuardianからこちらの記事をご紹介します。
Trawling for trash: the brands turning plastic pollution into fashion(Guardian 2018/11/23)[約673語]

この記事では、海のプラスチックごみを回収し、それを原料にして作られた化学繊維を使って服を作っているブランドの取り組みを紹介しています。小さなベンチャー企業の取り組みかと思いきや、名前が挙がっているのはグッチやステラ・マッカートニー、アディダスといった有名ブランド。海のプラスチックごみを回収してリサイクルする動きは高まるトレンドだそうです。

海のプラスチックごみから作られた化学繊維Econylは、何度でもリサイクルして再び繊維にできるとのこと。リサイクルされた繊維とはいえ、化学繊維は安全には土に還らないので、消費者が着なくなったら製造元で回収して再び繊維にして新しい服に再生させてくれるといいのにな、と思いました。

最後のほうでしっかり指摘されていますが、海のプラスチックごみを回収・リサイクルするだけでは根本的な解決にはならず、というか、追いつかないのだそうで、そもそもプラスチックごみを出さない、というのが大事とのこと。

海に漂うプラスチックごみを、ウミガメやカモメなど海の生き物が誤って食べてしまい、体内がプラスチックでいっぱいになってしまった写真を見たことがあり、とてもかわいそうでした。日本では動きが鈍いですが、フランスや台湾、イギリスなど、使い捨てプラスチックを禁止にする国や地域も出てきています。

日本ではプラスチックごみを資源ごみとして回収している自治体も多いですが、実際にはほとんどがリサイクルされておらず、焼却されていたり、海外へ輸出されていたりするそうです。中国がプラスチックごみの輸入禁止を発表後、行き場をなくしたプラスチックごみが溜まって、上限基準を超えた自治体も出てきています(参照)。他のアジアの国へ輸出する場合もあるそうですが、処理が追いつかずに、海へ流出する可能性もあるといいます(参照)。

海の生き物だけではなく、海のプラスチックはやがて粉々に分解されて、マイクロプラスチックになり、食塩や人間の排泄物からも検出されています。人間は、自分で出したごみを知らないうちに食べてしまっているということ。プラスチックを減らすことは、自分たちの身体のためでもあります。

ちなみに、1つ前のコーナーで取り上げたresilienceは、こちらの記事にも登場しています。こんな使い方もあるのかーと思いました。

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介
今日ご紹介するのは、ひよこ豆(ガルバンゾー)です。アリサンのオーガニックのひよこ豆がお気に入りで、1キロ入りをよく取り寄せています。

灯油ストーブが活躍する季節になり、お湯を沸かしたり、スープを煮たり、ごまを炒ったり…。ストーブの上がしばらく空きそうなときは土鍋で豆をことこと。一晩水につけておくのを忘れてもいきなり煮て大丈夫なひよこ豆とレンズ豆によく助けられています(ひよこ豆もパッケージには一晩水に浸すと書かれていますが、浸さなくても結構柔らかく煮えます)。

私は作ったことはないのですが、大豆と同じようにしてひよこ豆でお味噌を作ることもできるよう。ほくほくした食感で、スープに入れたり、潰してディップにしたり、いろいろ楽しめます。

【5】Books&Music:今月も音楽『Little Drummer Boy』
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。先月が音楽だったので、今月は本の予定でしたが、クリスマスシーズンということで、クリスマスソングを一曲ご紹介させてください。代わりに来月は本をご紹介します。

Little Drummer Boyは、クリスマスの定番ソングで、ほとんどが「Pa rum pum pum pum」。それ以外の部分の歌詞は、貧しい男の子がお金がなくてプレゼントができない代わりにドラムを叩いてもいいかとたずね、それでもいいことになったのでドラムを一所懸命に叩いたら、王様が笑ったというストーリーになっています。歌詞はKingですが、これをイエスと解釈している解説もあります。

ボブ・ディランさんの歌うバージョンをYoutubeで偶然発見したのがこの曲との初めての出会いでした。ミュージックビデオのイラストも素敵でつい何度も再生して見入った記憶があります。2009年のアルバム『Christmas in the Heart』に収録されています。このアルバムの収益はすべて食料支援NPOのフィーディング・アメリカに寄付されたとのこと。クリスマスの精神を感じます。

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和暦神在月のつごもり月報をお届けしました。12月はなにかと慌ただしい季節ですが、お身体に気をつけて、穏やかな年末年始をお迎えください。