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2019-04-04

つごもり月報―和暦如月(2019/03/07-04/04)ver. 2-vol. 7

今日は和暦如月の晦日(つごもり)。明日から和暦弥生です。ご縁のあった方々への近況報告も兼ねて、毎月の晦日にひと月のあれこれをお伝えしています。今年は用事で出かけるタイミングと桜の開花のタイミングがばっちり合ってくれて、あちこちで桜を楽しむ機会に恵まれ、4カ所くらいでお花見ができました。原種の桜も見られてうれしかったです。それでは、和暦如月のつごもり月報をお届けします。

ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。
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【1】These days ... ―最近のあれこれ:ドキュメンタリー映画『WEED THE PEOPLE』
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:really?
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:有機ゆずフルーツスプレッド(光食品)
【5】Books&Music:今月は音楽『What A Wonderful World』(Louis Armstrong/1967年)
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【1】These days ... :ドキュメンタリー映画『WEED THE PEOPLE』
最近のあれこれを書いてみます。

『WEED THE PEOPLE』というドキュメンタリー映画を観てきました。医療大麻に関する映画で、小児がんの治療にカンナビスオイル(大麻草から採れるオイル)を取り入れているアメリカの家族の様子が描かれていました。WEEDは「雑草」という意味ですが、「大麻草」という意味でも使われるそうです。

カンナビスオイルには、がん細胞を消滅させたり、抗がん剤や放射線治療による副作用を軽減させたりする効果があるそうです。映画に出てきたイスラエルの研究では、カンナビスオイルをがん細胞にかけると消滅し、健康な細胞にかけても細胞は無傷のままでした。ほかにも、てんかん、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、拒食症、過敏性大腸症候群など、さまざまな病気に効果が認められているとのことでした。

アルコールやタバコよりも危険性や依存性が低いということが科学的に証明されているそうです。多少取りすぎても眠くなる程度で重篤な副作用はなく、がんに効くことがわかっているのであれば、医療にもっと活用されてもよさそうなものですが、そうはなっていないので、映画では、子どもの命を救いたい親たちがSNSやインターネットの情報を頼りに、カンナビスオイルを治療に取り入れていました。保険も効かないので費用もかさみます。

映画に登場するある女性は、自身も難病をカンナビスオイルで治した経験があり、市場で出回っているものは品質が安定しないため、自分でカンナビスオイルを作って、がんや難病の患者の相談にのりながら使用法を指導し、データを集めてその後の治療に役立て、何人もの患者を救っていました。その女性は、法的な規制が進んでいないため、品質が劣悪なものも出回っていて、必要な人に届かず、救える命が救えないことに憤っていました。代替医療としての大麻の使用は、アメリカでは州によって制度が異なっていて、使用が認められていない州の家族が、ほとんどの病気に対して使用が認められているカリフォルニア州まではるばるやってくるケースも出てきました。

映画の後、医療大麻について調査や研究をしているお医者さんの講演もありました。そのご友人の元プロ野球選手の方がオーディエンスとして参加されていたのですが、その方も難病を医療大麻で克服されたそうです。筋萎縮性側索硬化症(ALS)とギランバレー症候群という病だったそうですが、CBDオイル(大麻に含まれる有効成分の1つ)で回復されたそうです。その出会いはなんとも不思議な縁で、日本で輸入が認められている海外のCBDオイル(大麻に含まれる有効成分の1つ)を個人輸入している人から「これ、君の病気に効くかも」と試させてもらうことに(高価なものなのですが、実際に難病の人が治るのを見るのは初めてなので興味深いから、プレゼントするので使ってみてほしいと言われて、無料でもらったそうです)。その後、カリフォルニアに渡って、日本では使うことのできない別の成分も試してみる機会もでき、CBDオイルよりももっと効果があったので、このまま使えたらいいのにと思われたそうです。CBDオイルを使う前は、日本の現代医療では緩和ケアしか手立てがなく、寝たきりでうつ病も発症していたそうですが、CBDオイルを使った後は自分で車も運転できるようになり、今では野球のコーチもできるようになったそうで、「これは間違いなく薬です」と話されていました。

日本だと、大麻なんて完全にタブーな感じで、少し話に出すだけでも相当ヤバイやつだと思われそうな感じですが、有効性が示されている研究や、映画に出てくる家族のように身体をはって試した患者さんたちの治療例がたくさんあるので、もっと研究や議論が進むといいのになあと思いました。

日本での上映会情報などはこちら:
http://weedthepeople.strikingly.com
映画のウェブサイト(英語)はこちら:
https://www.weedthepeoplemovie.com/


【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:really?
今月取り上げるのは「really」。初めて出会ったのは中学校の教科書だった気がします。「本当?」「マジ?」みたいな感覚でついつい日本人は多用する傾向があるそうですが、今月訳したエッセイで、これが不快に響くこともあると読んで、それは要注意だと思いました。

たしかに、英語が母語の友人と話していて、「really?」と言われたことは、そういえば思い当たらないなあ…と思いました。さきほど書いた映画『WEED THE PEOPLE』で、「really?」が出てきたシーンがありましたが、本気で驚き呆れて怒っているシーンでした。日本語でも、「うっそー」「マジ?」「ほんとに?」などと言われると腹が立つという人もいます。そういう感覚なのかもしれません。

英語が母語の友人と話していると、really?と言われない代わりに、fantastic!、that's good、nice!、wonderful!、great!、gorgeous!、awesome!、fabulous!…などなど、次から次へと形容詞が飛び出すことがあります。驚きや感動を表すには、really?と事実かどうかを確認するよりも、こうした形容詞のほうが適切なのかもしれません。


【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
リーディング素材として毎月1本、英文記事をご紹介しています。

今月はThe Guardianからこちらの記事をご紹介します。
Don't know how to save the planet? This is what you can do(The Guardian 2019/03/25)[約1174語]
地球の自然環境を守るために、地球に住む一人ひとりの人間ができることについて、「全員が菜食になるべき?」「飛行機に乗るのはいいの?」「環境税って役に立つの?」「子どもを生む数を減らすべき?」といったよくある質問に答える形で、地球のためにどんなことができるかについてコンパクトに考察されています。

ちなみに私も菜食になりました。たぶん7年ほどになるのな、と思います。お肉を食べていたころよりもむしろ健康で丈夫になりました。「タンパク質が足りないだろ!」とよく言われますが、雑穀や豆類など植物性のタンパク質をとっています。動物の肉から直接タンパク質をとりこめるわけでもないらしく、腸内細菌がでんぷんなどからタンパク質を合成しているのだとか。菜食は始めてみると、おもしろいし、おいしいし、健康になるし、肌もきれいになるし、洗い物も楽になるし、外食が減るのでお金も減らないし、おまけに、環境保護や飢餓の軽減にもつながるなんて、いいことづくめだと思います。

この記事を書いた人は『There Is No Planet B, A Handbook for the Make or Break Years』という本の著者でランカスター大学教授のMike Berners-Leeさん。この本のタイトル『There Is No Planet B』は、「惑星Bというのはない」=「地球は1つしかない」という意味。地球に快適に住むことのできる年月を長くするのも短くするのも我々人間の暮らし方次第ということを伝えています。この記事をきっかけの一つとして、自分の行動方針をもう一度見直したいと思いました。


【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:光食品の「有機ゆずフルーツスプレッド」
今月は、光食品の「有機ゆずフルーツスプレッド」をご紹介したいと思います。見た目も食べ方もジャムなのですが、砂糖を使っていないので、規格としては「ジャム」から外れてしまうため「ジャム」と表記できないのだそう。

国産の有機ゆずと、海外産の有機ぶどう果汁だけでできたジャムで、増粘剤や香料、酸味料といった添加物が入っていません。自家製の豆乳ヨーグルトにのせて食べるのが最近の定番です。ほかにも、お湯に溶かしてゆず茶、味噌と混ぜてゆず味噌など、さまざまな楽しみ方ができるそうです。光食品のウェブサイトによると、放射性物質検査も定期的に実施しているとのこと。

お砂糖を食べるのをすっかりやめて、半年近くになり、体調がかなりよくなりました。砂糖も人工甘味料も使っていない加工食品が増えてくれると、食事の楽しみや贈り物の選択肢が増えて、とてもうれしいです。


【5】Books&Music:今月は音楽『What A Wonderful World』
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は音楽のご紹介です。

今月ご紹介するのはLouis Armstrongさんの1967年にレコーディングされた作品『What A Wonderful World』です。

私にとっては、春になると頭のなかでずーっとリフレインすることが多いこの曲。リアルタイムで聞いていた人たちにとっては、平和の大切さを訴える象徴のような曲なのだそうです。

発表当初はヒットしなかったということですが、1987年にベトナム戦争をテーマにした映画『Good Morning Vietnam』で流されて大ヒットしたそうです。映画では、兵士がベトナム戦争で戦い、傷つき、亡くなっていく映像のバックに、この曲が流れます。美しい自然や穏やかな人々の暮らしを歌った歌詞と、ベトナム戦争の映像のギャップに、当たり前の幸せと壊すのが戦争だ、という反戦のメッセージとして多くの人々に受け止められたようです。(参照:Louis Armstrong's 'What a Wonderful World' recording turns 50[Los Angels Times 2017/08/16])

「50 YEARS OF “WHAT A WONDERFUL WORLD”」と題された記事によると、この曲が作られた当時のアメリカは、公民権運動やベトナム戦争などについての論争で、人々が分裂し、ときに暴力的な衝突も発生することもあり、この曲の共同作曲者でプロデューサーのBob Thieleさんは、アメリカ全体を癒やすメッセージが必要とされていると感じていて、作曲家のGeorge David Weissさんに作曲を依頼し、Louis Armstrongさんが歌うことになった、ということです。

春になり、空の青さが濃くなり、桜が咲いて、新緑がまぶしく、ひばりがさえずり、ツバメが飛び交い…そんな景色はきっと、この歌で歌われている、失ってはならない大切なものなんだなあ、と、この歌を聞いていると改めてはっとさせられるような感じがします。
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まだ急な冷え込みもありますが、だいぶ温かい日が増えてきました。桜、つつじ、藤とお花見が楽しみな季節ですね。朝は真冬、昼は初夏といった日もあり、寒暖の差が激しいですね。重ね着で調整したり、体調に気をつけてお元気でお過ごしください。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。それではまた来月。