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2019-05-04

つごもり月報―和暦弥生(2019/04/05-05/04)ver. 2-vol. 8

今日で和暦弥生も晦日(つごもり)となり、明日から和暦卯月です。藤の花が満開で、くまばちが羽音を立てています。草木弥生月(=草木がいよいよ生い茂る月)の名の通り草の成長も盛んで、毎日のようにどこかから草刈り機の音が聞こえてくる季節となりました。

ご縁のあった方々への近況報告も兼ねて、毎月の晦日にひと月のあれこれをお伝えしています。ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。それでは、和暦弥生のつごもり月報をお届けします。

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【1】These days ... ―最近のあれこれ:種まき、種まき
【2】Words Pick Up―今月拾った英単語:eavesdrop
【3】News Pick Up―今月拾った英文記事:Arbor Day
【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:クスノキのEco Block
【5】Books&Music:今月は本『もうレシピ本はいらない』
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【1】These days ...:種まき、種まき
最近のあれこれを書いてみようと思います。

5月の連休といえば我が家では「種まき」です。地方へ移住して自然農を始めて早いものでもう6年目に突入しました。

お米の種まきは無事完了。最初の年はスズメさんにたくさん食べられたので、ネットをかけるようになりました。夏野菜の種まきは今年は直まきではなく、セルトレイにまいて、朝晩寒いときは家の中に避難させています。もうそろそろだいぶ暖かくなってきて、出しっぱなしでも大丈夫そうです。小さな芽がぴょこぴょこ出てきてとてもかわいいです。藤の満開の頃から蒔き始める野菜は結構種類が多く、草が旺盛に伸びる時期でもあるので、毎日のように畑通いです。この時期は午前中の気持ちのいい時間に2時間くらい作業しています。午前中に畑に行くと、一日中気分よく過ごせるような感じがします。

種は自家採種ができる固定種・在来種(エアルーム)のものを選んでいます。自家採種した種もまいていて、年々、うちの畑の過酷な環境に慣れて強靭になってきています。にんじん、ごぼう、パクチー、大根はほぼ野生化し、草ぼうぼうの中で発見されたり、草と間違えてうっかり刈ってしまっても倍になって復活したりします。「たねの森」さん、「野口種苗」さん、「畑懐(はふう)」さんなどでインターネットで取り寄せられます。最近では、自然派のカフェや自然食品店などで取り扱っているところもよく見かけるようになりました。

【2】English Words Pick Up―今月拾った英単語:eavesdrop
今日取り上げるのはeavesdropという単語です。「こっそり聞き耳を立てる」「傍受する」といった意味の動詞で、eavesdrop on ~で「~を盗み聞きする」という意味になります。

eave(通例eaves)は屋根の「ひさし」という意味なのですが、どうしてeaves+dropでそういう意味になるのだろう…?と不思議でした。Oxford英英辞典を引いてみると、ひさしの下でこっそり盗み聞きしている人のことをその昔eavesdropperと呼んだそうで、そこから「~する人」の-erを外して動詞にしたようです。eavesdropには、ひさしから垂れるもの=「雨だれ、雨音」という名詞の意味もあるようですが、めったに使われなくなったようです(Collins英英辞典にRare〈まれ〉との表記が)。

「盗み聞きするつもりはなかったんです」は "I didn't mean to eavesdrop (on your conversation)." などとなります。カフェなどで仕事をしていると、そばにいる知らない人たちの会話が耳に入り、気になる話だったりして、そのつもりではなくてもついつい耳がそっちを向いてしまいます…。わざと聞き耳を立てたわけではなく、聞こえてきてしまった場合はoverhear(~をふと耳にする、立ち聞きする)という他動詞が使えます。

【3】News Pick Up―今月拾った英文記事
リーディング素材として毎月1本、英文記事をご紹介しています。

今月はCNNからこちらの記事をご紹介します。
What you need to know about Arbor Day(CNN 2019/04/26)[約364語]
Arbor Dayのことは、仕事でいただいた原稿で初めて知りました。Arbor Dayには、アメリカ各地で植樹祭や木にまつわるイベントが開かれるそうです。ネブラスカ州で始まり、現在はオーストラリア、ブラジル、カナダにも広まっているとのこと。

arborは「木」を意味するラテン語で、Arbor Dayとは「木の日」。保全や植樹をするアメリカの記念日で、4月最終週の金曜日とされています。こちらの記事では、この日の起こりや歴史、木が私たち人間にもたらしてくれる恩恵などについて、簡潔にまとめられています。

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介
そろそろニット物もしまう時期ですね。今日は天然成分の防虫剤をご紹介します。

1つめは、クスノキのアロマブロック。正式な品名はKUSU HANDMADE Eco Blockというそうです。

九州産のクスノキの端材を有効活用した使いやすい大きさの衣類用防虫ブロックで、香りが薄くなってきたら、クスノキのアロマオイルを垂らして染み込ませて、繰り返し使えます。職人さんがひとつひとつ手作業で仕上げているそうです。材質が木のみなので、もう使えなくなったら灰にして土に還すことができるのもいいところ。昔から防虫剤として使われてきた「樟脳」はクスノキから抽出される成分です。

製造元のオンラインショップの説明によると、タンスや衣装ケースの四隅に入れるのがおすすめで、使用期間の目安は、頻繁に開閉するタンスの引き出しなどで1~2か月、密閉容器で3~4か月だそうです。

【5】Books&Music:今月は本『もうレシピ本はいらない』(稲垣えみ子・著/マガジンハウス・刊)
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は本のご紹介です。

今月は『もうレシピ本はいらない』(稲垣えみ子・著/マガジンハウス・刊)をご紹介します。話題になっていたこちらのエッセイ、ようやく読みました。とはいえ、読み始めたら止まらず、あっという間に読んでしまいました。この本を娘さんが先に読んで、「お母さん、私もうこういう食事でいいからね!」と宣言され、自分はこういうのがいいんだけど、娘がいるうちはいろいろ食べたいだろうからと工夫して食事を作っていたのに…と拍子抜けした話も聞きました。

稲垣さんは、もともとは食べ歩きも好きだったし、料理も好きでレシピ本もたくさん持っていて、ぎょうざなんか皮から作ってしまうほど凝った料理もしていたとのことですが、今は鍋で炊いたご飯、乾物と味噌をお椀に入れてお湯を注いだ即席味噌汁、ぬか漬け、という汁飯香のシンプルな食事に行き着いたそうです。シンプルでワンパターンでも走って帰りたくなるほどおいしいと表現されていました。

どうしてこういう食に行き着いたのかを読んでいて、料理が上手だったお母さんが認知症を発症し、レシピ通りの料理ができなくなってしまったことが出てきました。テキトーでいいんじゃないの、と言っても、テキトーな料理なんて許しがたいことだったようです。稲垣さんのお母さんは、料理ができるというのが自分の存在価値のようになってしまっていただけに(料理は女がやるもの、という社会の固定観念が一因ではないかと思うのですが)、今までできていた料理ができないということにもがき、料理をしなくなると認知症はさらに進み…という悪循環に苦しんでいたそうです。

その姿を見ていて、稲垣さんは、どうして料理がこんなに複雑なものになってしまったのだろうか、誰にでもできるシンプルなものにできないのだろうか、と疑問を持たれます。料理が難しい特別なものになってしまうと、こういう弊害も生まれてしまうのか、と思いました。私の祖母は入院するまでずっと料理をしてきて、ずっと頭がずっとしっかりしていて、「(認知症にならないのは)たぶん料理のおかげだろうね」と祖母も母もよく言っていました。私もずっと料理をして死ぬまで頭をしゃっきりさせておきたいので、料理はこれからもゆるくテキトーでやっていこうと思いました…。

会社員時代にいくらお金を貯めても将来の不安は消えなかったそうですが、こういう食に行き着いて、1食200円で食べられるのかと思ったら将来の不安がなくなり、簡単でシンプルな料理は自由をもたらすとも思われたところにも、確かにそうだろうなあと思いました。私もお砂糖全般を避けるようになったこともあって(*詳しくは2018.11のつごもり月報の【1】をご覧ください)、自分で作ることが増えました。忙しいときはご飯、即席味噌汁、漬物というときもあり、こんなんでもいいんだと思うと気が楽になってきて、むしろ料理も楽しくなってきます。すると、お金がなかなか減りません。おまけに病気もめったにしないので、医療費の不安もありません。いざとなれば食べる分くらいはどうにか稼いではいけそうだし、と将来の不安はかなり和らいできています。簡単でシンプルな料理は自由をもたらすというのはまさにそうだと思います。

料理に対する新しい見方を提示してくれる本でした。

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今月もつごもり月報、最後までお読みいただき、ありがとうございました。新しい元号が「令和」と決まり、英語の記事ではbeautiful harmony(美しい調和)と英訳されています。ちなみに、平成はachieving peace(平和を達成する)だそうです。「令和」の出典元・万葉集を研究している東京大学の教授が、「令和」に込められた意味について論考されていて、SNSなどで話題になっていると教えてもらい、私も興味深く読みました。数千年の時を越えて伝えられた〈権力者の横暴を許さないし、忘れない〉というメッセージに、アートの底力を改めて感じました。(その論考はコチラから読めます。)