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2019-07-02

つごもり月報和暦皐月(2019/06/03-07/02) ver. 2-vol. 10

今日で和暦皐月も晦日(つごもり)、明日から和暦水無月となりました。水無月は、梅雨が明けて晴れが続いて水の無い月。夏の日差しがやってくる季節になりました。夏至も過ぎて、だんだん日が短くなってくるので、日が短くなってくると結実する大豆の種まきをそろそろしようと思っています。

ご縁のあった方々への近況報告も兼ねて、毎月の晦日にひと月のあれこれをお伝えしています。ご関心のありそうなものだけ読んでもらうこともしやすいように、目次のようなものもつけています(テーマの変更の経緯はこちら(vol. 14)を、つごもり月報を始めた経緯については初回の記事(vol. 1)をご覧ください)。それでは、和暦皐月のつごもり月報をお届けします。

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【1】These days ... ―最近のあれこれ:梅仕事
【2】News Pick Up―今月拾った英文記事
【3】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介
【4】Books&Music:今月は本:『日本が売られる』
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【1】These days ...:
最近のあれこれを書いてみようと思います。

今年も梅仕事をしました。

青梅が出回る時期には、毎年、夏バテ予防の梅ジュースの素を仕込みます。洗って水気をよくとり、ヘタを竹串で取って、お酢とはちみつに浸して1か月くらい置きます。今年はリンゴ酢とリンゴジュースのブレンドされたまろやかで甘めの有機リンゴ酢を見つけたので、リンゴ酢オンリーのバージョンも作りました。夏になったら、炭酸水や水で割って飲むほか、ドレッシングやマリネの漬けだれにも使えると知って、今年はそれもやってみたいと思っています。

梅肉エキスも作ろうと思ったのですが、すりおろしはじめてみると、見た目よりも熟していて柔らかくて断念。以前も、取り寄せた青梅がカチカチではなかったものの、「まあやってみるか」とすりおろしてさらしで絞って汁を煮詰めてみたところ、いくら煮詰めても真っ黒にならず、ぎりぎりまで煮詰めてみても数か月で白いカビが発生してしまいました。それは避けたいのでやめにしました。カチカチの青梅で作ると真っ黒になって、かびることはなく、何年も保存することができます。梅肉エキスはお腹の不調や風邪などさまざまな症状に役立ち、作っておくと何かと重宝します。

完熟梅は梅干しに。梅を塩で漬けて、畑の赤紫蘇が大きくなるのを待っているところです。

【2】News Pick Up―今月拾った英文記事
リーディング素材として毎月1本、英文記事をご紹介しています。

今月はTIMEからこちらの記事をご紹介します。
The U.K. Just Banned 'Harmful Gender Stereotypes' in Advertising(TIME 2019/6/14)[約535語]

日本でも、「harmful gender stereotypes(ジェンダーに関する有害なステレオタイプ)」がたっぷりの広告やキャンペーンが、まともな感覚を持つ個人から批判されるようになってきました。

イギリスでは今後、例えば「運転が下手な女性」や「妻が掃除をしている間、ダラダラしている夫」、「エンジニアを夢見る男の子」や「ダンサーに憧れる女の子」といった描き方をしている広告が禁止になるそうです。

この記事を読んで、日本に住むイギリス出身の女性が書いたエッセイで、日本では「女性でも簡単に組み立てられます!」(女性は大工仕事が苦手というステレオタイプ)と謳われた組み立て家具、「女性でも楽に持ち上げられます!」(女性は力がないものというステレオタイプ)と書かれた道具、「男性だけ大盛り無料!」(男性は大食い、女性は少食というステレオタイプ)に辟易としている様子を前に読んだのを思い出しました。

女だからこうだ、男だからこうだ、といったステレオタイプは日本の場合はあまりにも空気のように当たり前に内面化されていて、意識するきっかけがない限りはステレオタイプ通りの考え方や言動をしていることに気づくことすらないかもしれません。映画やドラマやアニメ、テレビCM、広告といったマスメディアが、そうしたステレオタイプを強化し、また、新しい世代に刷り込んで再生産している面は大きいと思います。

イギリスの広告協会は、調査研究の結果、そうしたジェンダー差別を含む広告が社会に悪影響を与えていることを明らかにし、これを「有害」と捉え、ついに禁止にするということです。ジェンダー差別に基づく憶測は、個人の人生においても制限をかけ、社会全体に損害をもたらすというASAの見解を読んで、いわゆる「男らしい」とされるスキルや能力を女の人が発揮できなかったり、あるいはそうしたスキルを潜在的には持っていながらも「それは女らしくないから」と芽を出すことすらなかったり、もちろん逆も然りですが、そういったことは往々にしてあることだろうと思います。

イギリスでのこの動きを読んで、ジェンダー差別に基づいた暗黙の了解が人々にこう振る舞うべきだと押しつけてくるような現状の世の中から、一人一人の個性や選択の自由が大切にされ、尊重される世の中へと、地球全体の社会が向かっていく大きな一歩となるだろうと思いました。

【4】Happy Things―お気に入りのモノ・コト紹介:内堀醸造の有機りんごの酢

今回は、梅仕事のところで少し書いた、内堀醸造の有機りんごの酢をご紹介します。

内堀醸造は1876年から140年以上続いているお酢の醸造元。戦後は物資不足から、合成された酢が多く出回ったそうですが、その当時からずっと醸造酢にこだわってきたそうです(参照:コロカル「進化することで伝統もつなぐ 岐阜県八百津町〈内堀醸造〉の酢づくり」)。

梅ジュースといえばお砂糖をたっぷり使うのが主流ですが、お砂糖をやめたので、代わりの甘みを何でつけるかは毎回考えどころです。このお酢はりんごジュースでほどよい甘さが最初からついていたので、梅がかぶるくらい注ぐだけで、ちょうどいい梅ジュースの素ができました。そのままただ水で割って飲んでもおいしかったです。りんごジュースもりんご酢も有機栽培なのもありがたいです。

【5】Books&Music:今月は本『日本が売られる』(堤未果・著/幻冬舎新書)
おすすめの本とおすすめの音楽を隔月でご紹介しています。今月は本のご紹介です。

今月は『日本が売られる』(堤未果・著/幻冬舎新書)をご紹介します。

たいへん話題になっていて、発売当初から気になってはいたのですが…。心が元気なときでないと立ち直れなさそうで、なかなか読めずにいたのですが、参議院選挙も近いということで、ようやく覚悟を決めて読みました。

タイトルの通り、食料、土地、水、森、労働力、資産、種子…などなど、さまざまな日本の大切なものが強欲な外国人投資家や企業に売られそうになっている、それを可能にする政治的な動きが進んでいるということを、膨大な資料と現地調査をもとに明らかにし、警鐘を鳴らしている本です。日本に住む人は知っておいたほうが絶対にいい内容だと思いました。

ニュースやまともな人たちが発信してくれているものを読んできて、なんとなくヤバそうだなあ…と思っていた諸々が、どうヤバイのかがよく分かって、むしろすっきりしました。「これが事実なのか…」と目の前が真っ暗になるような事実が次々に記されていますが、最後の第4章では「売られたものは取り返せ」として、イタリアの五つ星運動など、諸外国での希望の持てる取り組みや動きが紹介されています。3章までは辛い現実ばかりで絶望的になってくるので、できれば一気に読んで、4章で希望を取り戻すか、先に4章を読んでおくほうが、もしかしたらいいかもしれません。

売られたらどうなるかも、すでに売られてしまっている国のことを調査して書かれています。売られたものを取り返すのは大変で、できることなら、売られる前に阻止できたらいいのにと思いました。そのためにも、今読んでおいてよかったと思いました。
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今月の単語のコーナーは、特に拾った言葉がなかったため、お休みにしました。暑くなってきたので、畑仕事は最近は朝晩に移行中です。世界のことを見ていると、すごくいろいろあって、心がかき乱されます。でも、自分の小さな世界の平穏から出ずにいて、自分の小さな世界がつながっている大きな全体のことを見ずにいると、いつのまにか自分の平穏も脅かされかねないので、ちゃんと勉強しないといけないなあとも思います。かといって、勉強ばかりして、自分で自分の暮らしをつくっていかないのもいけないなあと思います。バランスが難しいですが、ちょうどいいバランスを見つけたいです。